ブドウ糖の量が増える「糖尿病 」
食べ物・飲み物を摂取したとき、取り込まれた“糖質”は“ブドウ糖”へと分解され、血液に乗って全身を巡ります。ただ、それだけではブドウ糖は吸収されません。すい臓から分泌されるインスリンの働きがあって初めて、ブドウ糖は細胞の中へと正しく吸収されるのです。吸収されたブドウ糖は、エネルギーとなって身体を正常に機能させます。
しかし、何らかの原因によってインスリンの分泌量が減ったり、全く分泌されないことがあります。ブドウ糖は正しく吸収されず、慢性的に血液中のブドウ糖の量が増えてしまいます。(高血糖状態)
そうして身体にさまざまな悪影響を及ぼしている状態が、糖尿病です。
糖尿病の主な種類
糖尿病には種類があり、主に以下の3つに分類されます。
生活習慣病としての糖尿病は、「2型糖尿病」です。
1型糖尿病
ウイルス感染などをきっかけとしてすい臓が傷つき、インスリンを十分に分泌できなかったり、全く分泌できず、血糖値が上昇します。糖尿病全体に占める患者数はわずかですが、10代の方によく見られます。そのため、小児糖尿病とも呼ばれます。
2型糖尿病
生活習慣の乱れ、運動不足、肥満、ストレスなど、さまざまな原因によって引き起こされます。インスリンの働きが不十分となり、ブドウ糖の血中量が慢性的に多くなります。
糖尿病患者の9割以上が、この「2型糖尿病」に分類されます。以前は中高年の方によく見られましたが、近年は発症の若年化の傾向にあります。
その他
遺伝子異常、肝臓疾患、すい臓疾患、妊娠などによっても、糖尿病が引き起こされることがあります。
糖尿病になりやすいかも!?危険度チェック
- 血圧が高い、LDLコレステロール値が高い
- 血縁のある親族に、糖尿病の人がいる
- 味付けの濃い食べ物が好き
- 間食が多い
- 運動習慣がない
- 肥満気味である
- 疲れやすい、疲労が溜まりやすい
- キズ、できものが治りにくい
- 目がかすむ、視力が悪くなった
- いつも喉が渇いている
糖尿病の怖さは合併症を引き起こすこと
糖尿病には、三大合併症と呼ばれる疾患があります。糖尿病であることに気づかなかったり、放置していたために起こるものです。いずれも、神経や血管に障害をきたすものであり、“糖尿病の本当の怖さ”はここにあると言えるでしょう。
糖尿病の発症から10年以上経過してから合併することもありますので、糖尿病の診断を受けた方は早期に治療を受けましょう。
糖尿病神経障害
手足の末しょう神経に障害が起こり、しびれ、麻痺、胃腸の不良、めまい、発汗異常、ED、力が入らないといった症状を伴います。
糖尿病の3大合併症の中では、比較的早期に発症することの多い疾患です。
糖尿病網膜症
目の網膜の血管に障害が起こり、視力が低下します。網膜症を放置していると、最悪のケースでは失明に至ります。
発症後は、定期的に検査を受け、症状を抑えていく必要があります。
糖尿病腎症
腎臓の毛細血管で障害が起こり、腎臓機能を低下させます。体内の毒を尿として排出できなくなり、人工透析が必要になります。人工透析を受けるために、週に2~3回の頻度で病院に通わなくてはなりません。仕事やご家族への影響も大きく、生活の質も低下しかねません。
糖尿病の診断を受けたら、できるだけ早く治療を開始し、糖尿病腎症を含む合併症を回避することが大切です。
糖尿病の治療
生活習慣指導
栄養バランスのとれた食事を、規則正しく摂るようにします。
適度な運動による、肥満の改善、ストレスの解消、睡眠の質の向上といった副次的な効果も、糖尿病の治療には有効です。
飲みすぎは控え、できるだけ禁煙しましょう。
薬物療法
インスリン注射の他、すい臓のインスリン分泌を促進する薬などを使用します。